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夏のいきもの、なぜ?なに?リクエスト~ヒメマルカツオブシムシのおはなし [むしのおはなし]

夏のいきもの、なぜ?なに?リクエストの最後のおはなしを
ご紹介させていただきます。

みーさんの御宅のベランダにヒメマルカツオブシムシの
幼虫が現れたそうです。
このままだと死んでしまうと思って、みーさんは
家の中に入れてあげて、かつおぶしをあげながら
見守ってあげることにしたそうです。

ヒメマルカツオブシムシというのは、幼虫のときは
衣類を食べてしまう困った虫として知られていますが・・・

みーさんからヒメマルさんの幼虫へのご質問です。

「他の幼虫は主に葉っぱを食べて成虫になるのに
ヒメマルさんはなんで絹やウールを食べるのでしょうか。
外敵が少ないから?身にまとう物に殺生は必要ないとか、
大事に着なさいよという戒め?

ダンゴムシさんは自然界のお掃除屋さんでしたら
ヒメマルさんは必殺仕事人的立場なのでしょうか?
カイコさんの恨みはらしますみたいな。
よろしくお願いいたします。」

みーさんにヒメマルさんのことでメールをお送りしたら、
こんな返信をいただきました。

「我が家のヒメマルさんは最初は鰹節をたらふく食べていましたが
今は何日もお眠りしている感じです。たまに少し動いているくらいです。
良く見ると小さくて可愛いのに害虫扱いされて可哀そうだなあと
思ったりもします。(そういう私も昔はとても嫌っていたのですが…)
彼らがどんなことを考えているのかとても気になります。

ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。」

普段は害虫扱いされれしまうヒメマルさんを
ひとつの命として向き合ってくださった、みーさん。
心があたたかくなりました(^^)

でも、あまり動かなくなったヒメマルさんのことが気になります。
早速おはなししてみることにしました。


ヒ「もう少ししたらまた脱皮するよ。そうして大きくなる。
  来年の春に成虫になるよ。そうしたら外に出してね。
  私は外で出会いをして結婚して卵を産む。
  また毛や絹を食べて、ずっと命は続いていくんだよ。」

今あまり動かないのは脱皮のためみたいです。

私「じゃあ、今あまり動かないのは心配ないんだね。」

ヒ「ある程度の大きさになったら蛹になるよ。
  そうしたらもうそっとしておいてくれて大丈夫。
  蛹で春までまって成虫になる。
  (幼虫で越冬、春の手前で蛹になるそうです。)
  
  大人になったら外に出て、花粉を食べて、
  いっぱい空を飛んで、自然を味わって、
  出会いを求めて旅をするよ。」

マーガレットやキク科の植物のところに多く集まるみたいです。

私「幼虫の頃は、なぜ毛や絹、衣類を食べるの?」

ヒ「本当は動物の毛とか皮膚、虫とかを食べるの。
  自然界にいるときはそう。

  今は家の中は安全で、衣類というものが食べ物の
  代わりになるんだけど、本当は生き物死骸が
  私たちのごはんなの。

  時代が変わって、家の中にそういうものが少なくなって
  衣類を食べ物としてみつけた。それだけなの。

  私たちが生き残る過程で、虫が捨てた繭とか、
  家の隅で死んだ虫とか、ネズミの死骸とか昔は
  いっぱいあった。

  今はそれが減って、家の中に衣類というものがあって、
  代わりにそれを食べるようになったの。」

私「昔から古い家の中でそういうものを食べていたのは
  変わらないんだね。」

ヒメマルカツオブシムシは家の中で産卵したり、屋外では
鳥の巣などに産卵することがあるそうです。
鳥の巣なら巣材に動物の毛が使われていたり、ヒナの羽毛や
鳥の落とした角質(フケ)など、食べ物がいっぱいありそうですね(^^)

ヒ「そう。家の中が多かった。安全に食べ物を見つけられるから。
  あたたかい家の隅で大きくなって、動物の落とした毛や角質、
  虫の卵の繭、死骸を食べていた。

  今は家の中がきれいになったのかもしれない。
  そういうものが減って、代わりに衣類がごはんになった。
  外の暖かい時期はそういうものをたべたり、
  寒くなると家の中に入ろうと思ってやってきたよ。」

私「みーさんは、君をあたたかく見守ってくれそうだから、
  ごはんになにがほしい?」

ヒ「鰹節より毛とかウール、毛糸とか布がいいな。
  穴をあけてもいい純粋なウールがほしいな。
  それがあれば春まで生きられる。」

私「みーさんにお伝えするね。」

ヒ「私を春まで見守ってくれてもいいけど、
  成虫になったら外にだしてほしいな。
  次の出会い、命を求めて出発するよ。

  昔はあまり人の害にならずにごはんを
  見つけられたけど、今はきれいに
  なりすぎちゃって大変。

  でも、私たちは部屋の隅のお掃除屋さんで、
  これからも生きていくよ。
  自然界ではお掃除屋さんのひとつなの。
  それをわかってくれてありがとう。

  私たちみたいに毛や皮膚を分解して、
  次に肉や骨を分解して、やがて土に還す
  虫やバクテリアがいることを忘れないでね。

  そして土がいつか他の生き物や植物の栄養になること。
  分解できないものは、私たちお腹や自然に優しくない。
  人はそういうものをいっぱい作ってる。
  私たちは化学繊維は食べられないの。
  そういうものは減らしていかなくちゃって思うよ。」

私「本当にその通りだよね。」

実は、ヒメマルカツオブシムシは、化学繊維の一部も食べるようです。
動物繊維が一番好きで、次に綿や麻などの植物繊維を好んで食べるようです。

干からびた動物のタンパク質を食べ、骨は食べないという性質を利用して、
人の手で作るのが難しい小型の魚類などの骨格標本制作に利用されることもあるそうです。

カツオブシムシの仲間が動物の死骸を食べている画像を
見つけて、自然界では本当にお掃除屋さんなんだな~と
思いました。

今は自然に還らないプラスチックごみを減らすために、
プラスチックストローを使わない運動が起き上がっています。
自然に還る素材を原料のストローを使うことも
その一つだと思いました。

ヒ「自然に循環していくものを作ってくれること。
  それが人にも自然にもやさしいと思う。
  そうしたら人も自然も動物ももっと幸せに
  循環していけると思うよ。
  もっともっと自然は人に協力してくれると思う。
  私たちも自然界の中で分解を頑張るね。」

私「どうもありがとう。」

ヒメマルカツオブシムシさんが、自然環境や循環のおはなし
までしてくれたことにびっくりしました。
小さな虫ほど、土のこと環境のこと底辺で感じて生きている
のかもしれません。
  
ヒメマルカツオブシムシさんとのおはなししたあと、以下のサイトを
参考にさせていただき、メッセージに注釈をつけさせていただきました。

☆ヒメマルカツオブシムシの生態(Weblio 辞書より)
幼虫と成虫の写真も載っています。
https://www.weblio.jp/wkpja/content/%E3%83%92%E3%83%A1%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%84%E3%82%AA%E3%83%96%E3%82%B7%E3%83%A0%E3%82%B7_%E3%83%92%E3%83%A1%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%84%E3%82%AA%E3%83%96%E3%82%B7%E3%83%A0%E3%82%B7%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81#.E5.88.86.E5.B8.83

屋内で産卵、成長、成虫になった場合は、その場所で交尾、産卵して、
外に出ていくことが多いようです。
育った環境では、成虫になったオスがいたり、再び卵が育つ環境が整っている
場合が多いからみたいです。
その後は外に出て、花の蜜や花粉を食べて栄養を得て、
再び交尾したり、産卵するそうです。

みーさんのヒメマルカツオブシムシさんは、他の仲間がいて出会って
結婚できないので、成虫になったら外に出してあげるといいかも
しれないと思いました。

みーさんにヒメマルさんのメッセージをお届けしました。

みーさんからのご感想です。

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千尋さん、このたびは私の質問をヒメマルさんに聞いてくださり
ありがとうございました。

ヒメマルさんも団子虫さんと同じく自然界のお掃除屋さんだったのですね。
昔はよく大事なコートを食べられたりして悔しい思いをしていたので
きっと人間にたいする嫌がらせだと、斜めに見ていました。

もともとは部屋の片隅で虫の死骸とか動物の毛とかを食べていたのに
家も綺麗になり、居場所がなくなり衣服の方へと移っていったのですね。

純粋なウールですね。あるかな?探してみます。なかったら
手芸屋さんで何かよさそうなの買ってきますね。

もちろん、成虫になったら巣立ちしてもらおうと思っていました。
マーガレットの花とかキク科の花が咲いてるところを探しておきます。

自然を大切にする心は、小さい生き物から学ぶべきことがたくさん
あるんだなあって思いました。
みんなそれぞれに使命感があり、小さいからだでも精一杯に今を
生きているんですね。

千尋さん、ヒメマルさん、どうもありがとうございました。 
                       みー

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メッセージをお届けしてから少しして、ヒメマルさんは
脱皮したそうです(^^)

私は、衣類を食べる虫がいることは知っていましたが、
注目したり、直接見かけたことはありませんでした。
みーさんからのリクエストがなかったら、おはなしする
ことがなかった虫だと思います。

人の家の変化に伴って、食べるものがタンスの中の衣類に
なってしまったヒメマルさん・・・
本来自然界ではお掃除屋さんだったんですね。

どんないきものでも、もともとの食性をたどると、
生きるための理由があるのだと思いました。
そして、ヒメマルさんの食性は、不要になったものを
分解して自然界に還していくこと。

ヒメマルさんには大切なことを教えてもらえたと思います。

みーさん、ヒメマルさん、貴重なおはなしの機会をいただき、
本当にどうもありがとうございました!


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