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5月の自然のおはなし会、無事に終了しました。 [にじのえほんのおはなし会]

5月31日に自然のおはなし会を開催させていただきました。

今回ご参加してくださったのは6名のみなさんです。
久しぶりに宝台院 旧アソカ幼稚園舎の貸し教室が会場でした。
こちらは規則が変わって、営利目的などお仕事では使えなくなりましたが、
こういうおはなし会などの楽しみの催しでは時々利用させて
いただこうと思います。

今回は、前回のおはなし会とはまったく主旨を変えて、おはなしや
本の紹介を楽しむための催しとして行いました。
ご参加いただいたみなさんには、会場費のみをご負担していただきました。
私は大阪で4年間、図書館などで読み聞かせや語りをするボランティアグループに
所属していました。
絵本の読み聞かせの著作権について調べて、自分の開催にあたっては、まったく
無償のボランティア、会場費などの運営のための費用での開催であったら、
読み聞かせを行っても大丈夫ということを知りました。
今回は、ぜひ絵本を聞いていただきたいと思ったからです。

今回ご参加くださったみなさんとは、不思議なご縁でお集まりいただきました。
きっかけは、昨年秋に私が羊毛造形作家の鈴木オリエさんの個展がきっかけで
オオカミの作品をお迎えしたことでした。

☆鈴木オリエさんのサイトです。
http://orie-suzuki.jimdo.com/



RIMG0013.JPG
これがそのオオカミさんです。

このオオカミさんに私は「風(ルン)」チベットの言葉で生命のエネルギーという
名前をつけました。

このルンがきっかけで、オリエさんのお知り合いのオオカミがお好きのMさんたち
から、オオカミ神社とオオカミのお札のおはなしをお伺いすることができました。
Mさん、Yさん、Iさんは、NHKで放映された「見狼記」という番組が
きっかけで、オオカミをお祀りしている神社を訪ねるようになったそうです。
そして、Mさんは、私がルンをお迎えする前からオリエさんの作品としての
ルンをご存知だったそうで、いろんなことが重なって、こうしておはなし会に
ご参加いただけることになりました。

ほかにご参加いただいたお二人は私のお友達です。
お二人とも動物が大好きな方です。

会場のお部屋のテーブルの真ん中のルンを置き、ぐるりと囲むように
座っていただいて、おはなし会はスタートしました。

事前に、みなさんそれぞれに「オオカミ」というテーマで印象に残ったり
感動した本や出来事、経験などを考えてきていただきました。
テーマにそって本や体験談を紹介していただきました。

最初にMさんとYさんとIさんがオオカミ神社のお札を見せてくださりながら、
山深い集落で守られている神社やそこで暮らす人々のおはなしをしてくださいました。
私が行ったことがないような山奥の暮らしや風習、自然を大切にしている
人々の思い、オオカミ信仰とのつながりなど、おはなしの世界はどんどん
広がっていきました。

このときにご紹介してくださった本です。
絵本はそれぞれ読んでいただきました。
本の紹介文はアマゾンの各ページに掲載されているものを引用させて
いただきました。

☆おおかみのこがはしってきて (北の大地の物語)  絵本
寮 美千子 (著), 十勝環境ラボラトリー (監修), 小林 敏也  パロル舎



おおかみのこが走ってきて、つるっと転んだ。それは氷がおおかみよりもずっと偉いから。
氷を溶かす太陽は氷よりも偉い。ではいちばん偉いものって何だろう。
アイヌの民話を元にした絵本。

☆SINRA 2015年7月号 ニホンオオカミ幻視行~芦原 伸

最新号がニホンオオカミ特集だったそうです!

☆神坐す山の物語  浅田 次郎 (著) 双葉社


奥多摩の御嶽山にある神官屋敷で物語られる、怪談めいた夜語り。
著者が少年の頃、伯母から聞かされたのは、怖いけれど惹きこまれる話ばかりだった。
切なさにほろりと涙が出る極上の短編集。

Sさんはインディアンの教えの絵本をご紹介してくださいました。

☆こころに すむ おおかみ (インディアンのティーチングストーリー)
oba (著), 中村光宏HiroEagle (著), 北山耕平 (著)



あるひ、おじいさんが まごたちをあつめて おなはしをしました。
「よいかな、ひとの こころのなかには にとうの おおかみが すんでいるのだ」
「その にとうの おおかみは、 わしの こころのなかでも つねに たたかいを
くりひろげている」(本文より)
二頭のおおかみとは? そして、そのおおかみの戦いの結末は?
大人から子どもまで、深い感動と気づきをもたらしてくれる、インディアンが
大切に伝えてきた、心を育てるための物語。

Sさんがこの絵本のあとがきをご紹介してくださいました。

インディアンの人々は、人間だけが特別な存在ではなくて、
森羅万象、すべてにこころがあるとして敬ってきたそうです。
オオカミはインディアンにとって、勇気の象徴、戦いの神であり、
集団の中の個性を尊重し、高い社会性を持つ彼等から生き方を
学んだんだそうです。
よいこころ、悪いこころをまず一度受け止めてから、勇気を持って
よいこころを選んでいく、これが、あらゆるものに「真の友」を
見出す力になると書いてありました。

Mさんがご紹介してくださった、「おおかみのこがはしってきて」は
アイヌの教えの絵本です。「こころにすむおおかみ」と同じく
自然を敬い、大切にするこころが同じだと思いました。

Oさんは、宮沢賢治の「狼森と笊森、盗森」

というおはなしをご紹介してくださいました。


このおはなしは、ある森のそばにお百姓さんたちがやってきます。
「こゝへ畑起してもいゝかあ。」と訪ねます。
「いゝぞお。」森が一斉にこたへました。
 みんなは又叫びました。
「こゝに家建てゝもいゝかあ。」
「ようし。」森は一ぺんにこたへました。

このような感じで、森からの恵みをいただくときには必ずお伺いをたて、
感謝しながら暮らす様子が描かれています。
森に住む動物や精霊たちが人々にちょっといたずらする場面も、
ほほえましく、Oさんはそこがいいなあ~と思ったそうです。
人と自然がお互いを敬い、大切にしながら暮らしていた時代が
ちょっと昔まではあったのだろうなあと思いました。

このおはなしは、青空文庫さんで読むことができます。

青空文庫さんのリンク
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1926_17904.html



Iさんは、子供の頃に一番感動したおはなしをご紹介してくださいました。

☆狼王ロボ (シートン動物記) (集英社文庫)
アーネスト・T・シートン



人間の仕掛ける罠を嘲笑うかのように逃れて、コランポー一帯の牧場を
荒らしまわる狼王ロボ。
しかしロボにも弱点があった…。自然の尊厳と脅威を体現したかのような狼の物語。

ロボたちオオカミの賢さ、妻オオカミのブランカへの深い愛など、オオカミの
気高さを感じて、胸が迫ってくるおはなしでした。

最後に、私が「北海道の自然とオオカミ」というテーマでおはなしさせていただきました。

100年ほど前に絶滅してしまったエゾオオカミの物語絵本とアイヌの民話を
聞いていただきました。

☆エゾオオカミ物語 (講談社の創作絵本)
あべ 弘士 (著)



それはたった100年ほど前のこと。絶滅してしまったエゾオオカミと人間の歴史を
シマフクロウがしずかに語るおはなしです。

☆木ぼりのオオカミ (アイヌの民話絵本)
萱野 茂 (著), 斎藤 博之 (イラスト)



美しい女の人に恋をしたクマが、家族に魔法をかけて女の人と子供を
山奥の家におきざりにさせます。そこに毎夜クマが訪れるのですが、
お守りの木彫りのオオカミが巨大な生きたオオカミになって、クマと
闘い、女の人を守るというおはなしです。
最後は助けに来た若者にクマは討たれるのですが、クマの神の思いを知った
若者と村人たちは、クマの神の魂を神の国に送るおまつりをしてあげます。
私は女の人を守ったオオカミの勇敢さ、クマの神を送ってあげる優しさに
感動しました。

作者の萱野さんのあとがきから~

「アイヌの人びとは、自分の手で作った四つ足がついて頭のあるものは、
すべて魂がはいっているのだと信じてたそうです。
特にお守りは、ふだんは決して人には見せず、肌身離さず持っている
ものだったのですが、精神の良い人に心をこめて作ってもらったものは、
ほんとうに魂がはいっていて、お守りの役目をはたしてくれると信じていました。」

私は、私のところにきてくれたオオカミのルンは、この木彫りのオオカミと
同じようにオリエさんが大切に作ってくださり、魂が入っているように感じられ、
大切にしたいと思いました。

それから、「オオカミの声が聞こえる 加藤 多一 ・著」

の本を紹介して、私が北海道の森で出会った、不思議な森の精霊のおはなしを
させていただきました。
その森の精霊は、オオカミとキツネ、タヌキなど、野生に生きたイヌ科の動物
すべてをあわせたエネルギーのような不思議な存在でした。
その精霊からのメッセージを聞いていただきました。

私は精霊の役割は何かを聞いてみました。

「大地に生きるものたちのバランスをとる役割。
 太古の昔より、滅びた動物も生き残った動物もいます。
 オオカミは死んでしまった。クマも少しずつ減ってきています。
 でも、リスやキツネなどはまだこの森で生きていけるでしょう。
 このエネルギーのバランスを保つことで、私たちは、人間だけではなく、
 動物もここに生きる命として大切にしています。

 大地に根ざして生きることとは、ゆっくりと大地を歩くこと。
 そこに落ちた実を食べて、そこで出来たものを身にまとい、
 そこにまた還元していくこと。
 動物たちにはそれができている。
 深い森はそれをずっとルールとしてきました。
 太古の人たちもそうでした。
 必要以上に命を狩ったりしませんでした。

 私たちはすべてが繁栄してはいけないとは言ってはいません。
 だから見守ってきた、今も、今までも。

 これからもきっとそうでしょう。
 ここに生きるものを守り、大地のエネルギーを私が歩くことで、
 ゆるやかに流れるように。

 私の願いは、この森を絶やさぬこと。
 人々が繁栄しても、この森のエネルギーは昔とともにあなたたちを
 守ることを知っていてほしいのです。

 森を訪れなさい。
 そこに吹く風を感じてください。
 私たちはそこにいる。
 目には見えなくとも。
 あなたたちと共に生きています。

 あなたと大地が根ざしていることを、私はいつかあなたに伝えたかった。
 人々は自分のルーツを知り、やがて旅立った先でも、その大地に 
 根ざして生きるでしょう。

 あなたの根は先祖から続いている。
 だから、自分の生まれた土地、自然を今も思い起こしてほしいのです。
 そこでの体験を、ふれあった自然を忘れないで生きてください。

 そして、私たちが今もそこにいることを。守っていることを。
 共に生きましょう。

 あなたと話せてよかった。
 みなが自分の自然とつながることが私たち精霊の願いです。」

精霊がはなしてくれたのは、たとえ大人になって故郷を遠く離れても、
自分が子供のころに触れ合った自然は、ずっとあなたの中で生きつづけ、
あなたを支え続けてくれるというものでした。
ずっとこれからも自分と自然とのつながりを感じて生きていってほしい、
そして、それを大切にしてほしい。
森を訪れ、風を感じ、私たちが今もこの中で生きていることを
忘れないでほしいと精霊は言いました。

不思議なのですが、ここに集まってくださったみなさんの
ご紹介してくださった本や体験談は、みんな、自然と人とのつながりの
大切さを忘れないこと・・でした。
いろいろなおはなしの広がりの中で、このテーマを深めることができて、
本当によかったです。
そして、とても楽しかったです!
このおはなし会でたくさんの物語を持ち帰ることができました。

ご参加いただいたみなさん、本当にどうもありがとうございました。

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