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アマゾンのカヤポ族の長老ラオーニさんのおはなし [講演会・セミナーのおはなし]

10月23日、静岡で行われた「アマゾンの長老ラオーニさんの講演会」に行ってきました。
NPO法人熱帯森林保護団体(RFJ)代表の南研子さんをはじめとする、団体のみなさんの
主催で行われた講演会です。

講演会の前日まで、私は長老ラオーニさんと支援団体RFJさんのことをまったく知りませんでした。
たまたま出かけた場所で、お知り合いの方からラオーニさんのことと、静岡で
講演会があることをお伺いして、とてもおはなしを聞いてみたくなりました。
アマゾンの長老さんからどんなおはなしを聞けるのだろう?
アマゾンの自然のこと、環境のこと、いろんなことを聞けるのだろうかという気持ちでした。
ネットでこの講演会の詳細を調べ、まだ空席があるということで参加できました。

講演会の内容は、私が思っていた以上にテーマが重く、軽々しくブログに書いてはいけないと
感じました。
もっと自分の中でよくこのことを受け取って、南さんの著書を一冊でも読んでから
書いてみようと思いました。

ラオーニさんとRFJさんの支援については、以下のサイトに詳しく書いてありますので、
先にそちらをご覧になってみてください。

☆アマゾンからカヤポ族長老ラオーニと青年男性を日本に呼びたい! https://readyfor.jp/projects/raonijapan


☆特定非営利活動法人 熱帯森林保護団体(RFJ) http://www.rainforestjp.com/index.html


最初はRFJ代表の南さんから、スライドを見ながらアマゾンの熱帯雨林の現状についての
おはなしがありました。

南さんが1989年からずっと支援を続けているブラジル中西部に位置するシングー国立公園の
周囲は、大豆畑や牛たちの牧畜の拡大などで、一年間に四国の1.5倍ほどの広さの熱帯雨林が
失われているそうです。
その方法は、まず熱帯雨林の木々をブルトーザーなどで根こそぎ倒して、しばらく乾燥させた後、
火を放つのだそうです。
その方法で、そこに住むアリクイが火だるまになって苦しんでいる姿を南さんは観たことが
あると著書「アマゾン、森の精霊からの声・出版:ほんの木」の中で書いています。

この方法は、周囲の自然、野生動物を根絶してしまうだけではなく、国立公園内に住む
先住民の人々の生活と健康を脅かしているそうです。
焼畑の煙は、先住民の生活する村まで届き、目や肺が痛くなるほどなんだそうです。

また、アマゾンで採掘されるアルミの原料のボーキサイトなどのため、山は丸裸になり、
採掘が終わった山はそのまま放置、また次の採掘場へとどんどん広がり、
ボーキサイトをアルミのインゴット(かたまり)にするためには大変な電力が必要となり、
そのために大規模なダムが建設されて、それがまた熱帯雨林を破壊しているのだそうです。
ダム建設により、多くの熱帯雨林、野生動物、先住民の住まいが失われたのにも関わらず、
その建設に日本が多く関わっていたという事実はとてもショックを感じ、悲しく思いました。

日本のアルミ缶のリサイクル率について調べてみました。
☆アルミ缶リサイクル協会のページから~平成25年度のリサイクル率
http://www.alumi-can.or.jp/data/2013.pdf

アルミ缶再生利用重量は254.504トン(161億6千万缶)
消費重量は303.830トン(194億0千万缶)
そのうち、国産アルミ缶出荷重量は293.082トン(186億1千万缶)
輸入アルミ缶重量は11.900トン(8億5千万缶)
輸出アルミ缶重量は1.122トン(6千万缶)
よって、アルミ缶リサイクル率は83.8%で、韓国に輸出されたアルミ原料を
プラスすると93.5%、実際に缶から缶にリサイクルされたものは68.4%だそうです。

これだけを見るとリサイクル率が高いように感じられますが、
アルミ缶はアルミ缶にリサイクルできるという便利さがあるのに、
今だ輸入アルミ缶が8億5千万缶もあること、それがアマゾンの自然を
壊してできているということだろうか・・・と思いました。
そしてそれまでに使ってきたアルミ缶原料の元はどこからやってきたのかと思います。
そして、私たちがいかに多くの缶を気軽に消費しているか(194億缶)ということに
驚きます。

近年、日本を始め先進国で大豆やエタノールバイオ燃料の需要の増加、狂牛病のために
ブラジルの牛が注目されたことなどにより、どんどんアマゾンの開発が止まらない状況
だということでした。

農林水産省の大豆のページを調べてみたらこう書いてありました。
http://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/daizu/d_tisiki/#Q18

輸入大豆
Q.18 日本の大豆の輸入相手先は?

A.
平成25年(1~12月)の実績では、(1)アメリカ(166万トン)、(2)ブラジル(65万トン)、
(3)カナダ(38万トン)、(4)中国(4万トン)となっています。
【解説】
近年、アメリカからの輸入は減少傾向で、ブラジルからの輸入が増加しています。
なお、世界における2012年生産量ベスト5は(1)アメリカ(8,205万トン)、(2)ブラジル(6,570万トン)、
(3)アルゼンチン(4,040万トン)、(4)中国(1,280万トン)、(5)インド(1,150万トン)となっています。
(資料:FAOSTAT )

尚、国産の大豆についてです。

Q.5 大豆の自給率は?

A.
平成24年の大豆の自給率は8%です。
ただし、サラダ油などの原料となる油糧用を除いて食品用に限りますと、自給率は25%となります。

また、天然の立派なマホガニーを違法に伐採する業者や、野生動物の密猟者もいるそうです。
私たちが気軽に消費している大豆製品などの食品、アルミ缶飲料、立派なマホガニー製の家具
などの陰に、地球の裏側で悲しんだり苦しんでいる存在があることをまったく知りませんでした。

南さんのおはなしの後、ラオーニさんとお孫さんのお二人が室内に入って来られました。
ラオーニさんは、ブラジル中西部に位置するシングー国立公園の先住民のカヤポ族
の長老です。95歳にはなろうというお年なのに、背筋がすっと伸びていて、160センチの
私よりずっと上背があり、がっしりとした力強い体格でした。
とても95歳とは思えません。

ちょうど私は通路側のラオーニさんの一時席のそばにいて、入ってこられた
ラオーニさんと目が合いました。
ラオーニさんは、私の目をしっかり見て、それからニカッと微笑んでくれました。
とてもあったかい笑顔で、私も思わずニカッと微笑を返しました。

その後、ラオーニさんからおはなしがありました。
カヤポ族の言葉を話すラオーニさんの通訳をお孫さん(20才)のベポさんが
ポルトガル語に訳し、日本人の通訳さんが私たちに伝えてくれるという
二段階の通訳になりました。

ラオーニさんのおはなししれくれた言葉の一部です。
私が走り書きでメモしたものなので、ほんの一部なのですが、
ご紹介させていただきますね。

「私たちは森がなければ生きてはいけません。
森を守るのが私たちの闘いの中心です。
国立公園のエリアを広めたいです。
海外からの支援で森のエリアを広めたいのです。

森の伐採、水の汚染、空気の汚れ、天然資源の採掘、
違法な森の伐採業者から森を守るということは、
地球に生きるすべての命にとって大切です。

洪水、大水害、天災、文明人が自然を裏切れば、
自然は裏切るでしょう。
私たちはそれを守っていかなくてはなりません。

私は世界のあちこちに招かれておはなしをしています。
それぞれの文化をリスペクトしたい。
でも、世界のあり方によって森が壊されることは、
すべてに影響してきます。

私たちが私たちの子供が心配なように、あなたたちも
孫の世代が心配だと思います。

日本とカヤポは似ている。

似ているからこそ、森を守ってほしい。
未来の懸念を共有されていると思います。」

南さんのおはなしでは、カヤポ族と日本人は遺伝子的に祖先が一緒という
位近いルーツにあり、カヤポの赤ちゃんのおしりには蒙古斑があるそうです。(^^)
また日本が自然の中の八百万の神々を大切にしているところなど、伝統的にも
ラオーニさんが日本とカヤポが似ていると感じられたのかなと思いました。

次にラオーニさんのお孫さんのブライリーさん(40代だそうです。)の言葉です。

「祖父がおはなししたように、これは現実に起きていることです。
私たちは森に生かされています。
国立公園のエリアを広げて、森を守っていくことが大切です。
村にいる大人たちは森に胸を痛めています。
子供たちの未来が心配です。

私たちの森の暮らしは、女が森の中に小さな畑を作り、
バナナや芋やとうもろこしを作っています。
男は狩りをしたり、魚を獲ってくる自給自足で、遥か先祖と
同じ伝統の生活をしています。
民族の言葉を話し、祭りをして、羽根飾りとボディペイントをする
文化を守り続けています。
それは、森の恵みに生かされた生き方です。
日々の食べ物を与えてくれて、すべて森がもたらしてくれます。
森を守ることが必要です。
研子さんを通して、支援の輪を広げたいです。」

20歳のベポさんの言葉です。

「町に暮らしているのは11歳から学校に通うためです。
私たちにとって学校の意味はとても大きいです。
ポルトガル語を学んで、ブラジル社会とのコミュニケーションをしたいです。
白人文化を知るのは重要です。同時に村の暮らし、伝統を守り続けています。
祭りのとき、学校が休みのときは村に戻り、言葉、踊りを身につけています。

若い世代のインディオは携帯、TV,コンピューターを使います。
それらを村に持ち込んでいる若者もいます。
村の長老はそれを心配しています。

私にとって、テクノロジーは良い面と悪い面があります。
良い面は、情報を得るための武器、世界で何が起きているのかを知ること、
インディオが社会と対等になって、政府、法律を知ること。
政府の巨大プロジェクトが私たちの生活を脅かすのかを知ることです。

悪い面は、若者が音楽に没頭して、長老の話に耳を傾けないことです。
伝統が忘れ去られるのではないかということです。

私は、現代、伝統の両方を持っていて、良い面を使いこなしています。
私たちの文化を未来の世代に伝えていくこと。
今はまだ残っているこの伝統は、遠い未来に残り続けていくのか、
一日、一日を大切に守っています。
先人たちが遺してきた私たちの文化を残していきたい。
自分自身を形作るカヤポの文化、民族文化を守っていける大人に
なっていきたい。」

先日の講演会で、ベポさんは「ペンとノートが私の武器です。」と
おはなししてくれたことを司会者の方がおはなししてくれました。

昔からの伝統をかたく守り続けてきたラオーニさんと、自分の未来の世代を
心から案じているブライリーさん、現代の社会とのミュニケーションをとりながら
民族の文化を守っていきたいと語るベポさんのそれぞれの言葉に深く胸打たれました。

最後に、ラオーニさん、ブライリーさん、ベポさんが、来場者全員と握手とハグをして
お別れしてくださいました。
長い列に並んで、私の番になったとき、ラオーニさんの目がまんまるになり、にっこり
笑って細くなりました。「あ、さっき会った人だね!」とわかってくださったのが表情で
わかりました。
カヤポ族の言葉の「ありがとう」の「メイクム・レン」を伝え、「お元気で、お幸せに!」と
日本語でお伝えして、握手とハグをさせていただきました。
大きく、あたたかい手でした。

その後、この日に知った出来事についてゆっくり考えていました。
翌日からは、北海道の友達との大阪・京都旅行でした。
待ち合わせ先の大阪までの新幹線の中で、南さんの著書を読んでいて、
ラオーニさんたちの苦悩をまざまざと感じました。
昨日、笑顔を交わした人たちの家族が、地球の裏側で苦しんでいるということは、
もう他人事ではなく、まるで自分の家族が苦しんでいるように感じられました。
言葉が通じなくても、会って笑顔を交わして、手を握るということは、心に迫ってくる
ものです。これが本当に実感として知ることなのだと思ったのでした。

本の中には、豹はカヤポ族の守護神イレプリ(カヤポの創造主)であると書いてありました。
ちょっとうとうととしたとき、私の足元に豹が寝そべっていて、おしりとしっぽが
垣間見えるという不思議な夢をみました。
目を覚まして、豹に「何か伝えたいの?」と聞いてみたら「このことを伝えてほしい」と
言われました。

今、アマゾンで起こっている現状の厳しさをブログでどこまでお伝えできるのか
正直自信がなくて、数日迷っていました。
自分の中から言葉が出てくるまで待って、この文章を書いています。

今、自分に何が出来るのかなと考えて、今はまだ正直、はっきりとした答えは出てきません。
でも、知ることが出来たのは、とても大きなことだったと思います。

この夏、なぜか宇宙飛行士が宇宙から地球を見たときにどう感じたのかが気になって、
宇宙飛行士の若田光一さんのおはなしを聞きに行ったり、宇宙博に行ったり、宇宙や
宇宙飛行士の方の本ばかり読んでいました。

ラオーニさんの住んでいるアマゾンとまったく間逆のことをこの夏に吸収していましたが、
実は、若田光一さんがラオーニさんと同じことを話していらっしゃいました。
確か、国際宇宙ステーションからの公開動画だったと思います。

国際宇宙ステーションは宇宙空間にあり、太陽電池パネルで電力を作り、水再生装置で
尿から飲み水を再生したり、空気を作る装置、二酸化炭素を除去する装置を使って、
人が暮らしている環境を作り出しているそうです。
ある意味、ミニ地球という環境を作り出しているとも言えると若田さんがおっしゃっていました。
ここでは、コップ一杯の水でもとても貴重で、宇宙に水を運んでくるのに莫大な費用がかかる
ため、水再生装置が出来たそうなんです。

滞在している宇宙飛行士の方にとって、ここにある水と酸素は生きるための生命線であり、
もし水と空気がなくなったり、二酸化炭素除去装置が壊れたりしたら、即命に関わる環境です。
そういう宇宙から青い地球を見下ろしていると、そういった装置がなくても、自然環境の中で
水があり、緑があり、空気があり、みどりが二酸化炭素を空気に変えてくれている、自分たちの
命を支えてくれている地球のありがたさとかけがえのなさを実感するのだそうです。
この地球の自然を守っていかなくてはならないと、宇宙飛行士の誰もが強く思うのだそうです。
そして、その地球上の空気の三分の一を作ってくれているのが、ラオーニさんたちが住む
アマゾンの熱帯雨林です。それが今、急速に失われているのです。

宇宙飛行士の野口聡一さんは、宇宙服を着て、実際の宇宙空間から眼下の地球を見下ろしたとき、
圧倒的な生命の存在感を感じたそうです。
生きている、青い星、地球。
その野口さんの書いた文章は心の中に沁み渡るようでした。
私もまるで一緒に青い地球の圧倒的なエネルギーを体感したような気持ちになりました。

私の中で二つに分かれていたこの出来事が、手塚治虫さんの言葉によってひとつに
なりつつあります。

「ガラスの地球を救え」という手塚さんの著書からの引用です。

「実際、アメリカの宇宙飛行士たちの多くが、月面から、宇宙から、地球を
初めて眺めることによって、いかにそれまでの自分の人生観が変わったか
を述べています。

科学の最先端にいた彼らが、神を感じたり、伝道者になったりもしています。
宗教はともかくとして、彼らが、暗黒の宇宙にぽっかりと浮かぶ青く輝く地球を
見た時、そのかけがえのなさに胸打たれるのではないでしょうか。

大宇宙の孤独に耐えて、ガラスのように壊れやすく、美しい地球が浮かんでいる。
戦争の爆弾の火や、緑が後退して砂漠化が進む荒廃ぶりなど、まるで自分が
神のように眼下に見えてしまう衝撃。

そして、人間のはかなさが手にとるようにわかってしまうにちがいないのです。
宇宙の果てしない闇の深さにくらべ、この水の惑星の何という美しさでしょう。
それはもう、神秘そのものかもしれません。

ひとたび、そんな地球を宇宙から見ることができたら、とてもそのわずかな
大切な空気や緑、そして青い海を汚す気にはなれないはずです。

だから、ぼくは宇宙ステーションや月面で生まれ育った子供たちに期待しているのです。

彼らは生まれながらに、宇宙での人間の小ささ、力を合わせていかねば生きられないこと、
そして、人間がいちばん偉いのではないこと、眼下の地球に生きる動物も植物も人間も、
みんな同じように生をまっとうし、子孫を生み続けていく生命体であるのだと、まっすぐに
受け止めることができるように思います。

きっと彼ら未来人、そして宇宙人でもある子供たちは、新しい地球規模の哲学を
たずさえて、地上の人々に警告を発することでしょう。

その時こそ、やっと人類は宇宙の一員になれるのかもしれません。

以上は、マンガ家のぼくの独断と偏見に満ちた未来予測ですが、
誰でも試すことが出来るし、マイナスの予測がつけば、是正するために、
夢や生きがいとして未来へつなげていってほしいと思います。

いまの子供たちだって未来人、宇宙人です。
冒険とロマン、宇宙の神秘と謎、-追求すればするほど、ますます
夢は彼方へとふくらむのです。

IFーもしも、ぼくが、わたしが、宇宙からのまなざしをもったなら、
想像力の力は光速を超えて、何万何千光年のはるかな星々にまで
瞬時に到達できるでしょう。

その想像の力こそ、人類ゆえの最高に輝かしいエネルギーなのです。」

これは手塚さんが1989年4月に発行された本で書かれた内容です。
今から25年も前に書かれた内容が、まったく色あせずに今に生きています。

宇宙ステーションや月面で生まれ育った子供たちというのは、もっと先の未来です。
その前に、今この地球上で生きている私たち自身が、色んな視点から自分の生活、
暮らし方、食べているもの、使っているものにつながってゆく道を考えて、
今ある奇跡の青い星を守っていけるようにしてゆかなくてはならないと強く思いました。

私たちの暮らす裏側で、まさに空気を生み出す緑が失われていること、
苦しんでいる人々、自然、野生動物がいること、それは今、私たちに降りかかっている
多くの自然災害の源(地球温暖化)に直結しているということ。
私に語りかけてくれている自然や野鳥、虫たちもずっと同じことを伝え続けて
くれていたのだということ。

今、自分の足元を見直して、出来ることから始めていきたいと思いました。


Earth Day 2011 / AlicePopkorn

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