SSブログ

ツバメのおはなし~未来に命を続けられるように [鳥のおはなし]

昨日、関東地方に住んでいる友達からこんなおはなしを聞きました。

「ツバメが4月にやってきてくれて、しばらくは巣に入ってたから、
抱卵してるとばかり思っていました。
時々、いなくなった?と思ったら戻ってきたのだけど、 でも、
大型連休の頃には居なくなっていました。
近所に何組か居るらしくて、電線に止まったりウチの巣に来たりする
個体も居るんだけど・・・

近所には1~2羽ヒナがいるようなんだけど、初期に目が見えていない
ヒナが落鳥していました。(悲)」

昨年、友達は自分のアパートに営巣したツバメを楽しく観察していました。
一時期はヘビに襲われたりと危機がありましたが、壁に木酢液を塗って
撃退して(一応動物にも害がなさそうなもので・・と配慮してくれました。)
ヒナは無事に巣立ったそうなんです。

今年の4月に巣に戻ってきたツバメをあたたかい気持ちで迎えたのに
残念がっていました。
周囲の人が気になるようになってしまったのか、昨年のヘビの登場で
場所の危険を感じたのかと心配していました。
そこで、ツバメに何で営巣をあきらめたのか私が聞いてみることにしました。
野生動物のことはボランティアでセッションしています。

ツバメとの対話は思わぬ方向に向かっていきました。
この環境が合わないから別の場所に行ったのかな・・と思っていたのですが、
ツバメからは自然界からの警鐘のメッセージが届けられました。
彼からみなさんに伝えてほしいという願いを受け、友達の了解もいただけたので
ここにご紹介させていただきます。

ツ「抗酸化物質が少なくなって、今年は巣を作るツバメが減っているんだ。」

私「どうして抗酸化物質が少なくなったの?」

ツ「有機物のエネルギーの代謝を促進するものが、ある物体によって
  卵が作れないくらいにSOSを出しているんだ。」

私「その物体は何?」

ツ「泥の中に含まれている放射能。」

私「それはどのように体に影響するの?」

ツ「渡り鳥がかなり影響を受けているんだ。海も山も川も。
  小さな体の僕たちは、渡ってくるときにとても体が疲れていて、
  その土地の栄養で体を補わないと生きていけない。
  直接体に取り込むもの、それは巣を作る泥も同じだし、
  そこから僕たちは、少しずつ影響を受けてきた。

  体が渡ってきただけで疲れていて、子育てにまで
  栄養が回らない。
  卵が孵らないこともあるんだ。」

私「それもエネルギー不足のせい?」

ツ「それだけじゃない。何かしら奇形があって、
  生まれ出ることが出来ないのだと思う。
  僕たちの体の影響が卵に行っているんだと思う。

  今年はツバメが少ない。
  そして、来年も少なくなる。
  渡って来れないものも出てくるかもしれない。
  土壌の汚染はそれくらい進んでいるんだ。」

私「私たちはどうしたらいいんだろう?」

ツ「今の汚染を食い止めなくては、いずれ鳥も、虫も、海の生き物も
  今までのようにはいかなくなる。
  自然が豊かなのは、すこやかな光と水と大地があるから。
  今を十年先まで持ち越せば、灰色の大地になるかもしれない。

  何も終わってはいない。
  僕らは命でそれを示しているんだ。
  
  この情報は、僕たちの心の声だと思って。
  君はこの情報を伝える義務がある。

  鳥たちに気を配ること。
  虫の数や生命力を感じること。
  その土台はすべて、人間たちにかかってくるよ。

  十年先、二十年先、僕ら渡り鳥がこの地を訪れなくなったら、
  この声は届かなかったのだと思う。
  それがないように僕らは祈っている。
  素晴らしい未来を期待している。
  命を続けられるようにと願っているんだ。
  卵を育てられる未来を。
  人間も同じでしょう? きっと。」

ツバメからのメッセージは以上でした。

このツバメの住んでいる関東地域は、実は2012年1月26日におはなしをした
ある沼のオオバンと同じ地域です。
そこでは、沼地で高濃度の放射能汚染が感じられ、やがてゆっくりと昆虫や
野鳥に影響していくだろうというメッセージをもらいました。
それがこの記事です。

☆オオバンのおはなし~今、日本の沼で起こっているかもしれないこと
  
オオバンは言いました。

「渡り鳥はここからいなくなるだろう。
 地元にいる鳥も減るだろう。
 自然が自分達に伝えているメッセージを見落とさないでほしい。
 それが自分が生きる道となるから。
 僕達はここに残るよ。」

それと同じメッセージをツバメからもらうことになりました。
2年前に聞いた土壌汚染が、渡り鳥の繁殖に影響を与えているのかもしれません。

原発の放射能汚染が、ツバメなどに影響を与えているという記事は以前から知っていました。

=========================
☆2012年2月24日~福島のツバメをはじめとする野鳥への影響の記事

2月3日付 英国Independent紙

“Bird numbers plummet around stricken Fukushima plant”

『福島原発周辺で野鳥の数 急減』
Timothy MousseauとAnders Pape Mollerの2人は、今回の調査は野鳥の短命化、
オスの生殖能力の低下、脳の低サイズ化などを含む、野鳥への大規模な悪影響を
明らかにしたと語る。

多くの野鳥種においてDNAの突然変異が“著しく”増加し、発育上の異常や死滅が見られた。
また昆虫の数も著しく減少していた。

=======================

と記事の中には書かれています。

以前、チェルノブイリ周辺の動植物を研究している学者さんの報告では
このような記事を目にしました。

☆放射能汚染が鳥類の繁殖、生存、分布に及ぼす影響 -チェルノブイリ原発事故25年後の鳥の世界- 樋口 広芳(東京大学大学院農学生命科学研究科) さんの報告から

チェルノブイリの高濃度汚染地域で調べられたツバメでは、 血液や肝臓中のカロチノイ
ドやビタミンAやE といった抗酸化物質の量が、対照地域と比べて有意に減少している
( Møller et al. 2006: Proc. Royal Soc. B 272, 247-253)。抗酸化物質の減少は、
雄の精子異常や羽色の部分白化などをもたらす可能性がある。実際、チェルノブイリの
ツバメでは、部分白化個体の割合が原発事故前にはゼロであったのに対して、
事故後には10~15%に増加している(Møller & Mousseau 2006:TREE 21, 200–207)。

============================

ツバメが営巣するときには、河川や沼地などから泥を口で運んできます。
そのときに体内に汚染物質が取り込まれてしまったり、餌になる昆虫なども
汚染されている可能性があると思います。
それが血中の抗酸化物質の減少につながっているのではないかと、
ツバメからのおはなしとこの論文や記事で思いました。

日本野鳥の会では、ツバメの巣の調査を行っているそうです。

☆ツバメを取り巻く放射性物質の状況

この調査ではまだまだ継続しての調査が必要だそうです。
この調査でツバメにとって大切なお願いが書いてありましたのでご紹介します。

☆ツバメの巣を落とさないで

放射性物質の飛散予測で汚染が高かったとされる一部の地域では、
濃度の高い巣がある可能性もありますが、全国の巣が汚染されていると
いうことではありません。巣から50㎝以上離れれば、自然放射線量の
レベルまで下がり人体への影響は無視できるものと考えられますので、
ツバメの巣を落としたりすることのないようお願いします。



むやみに不安になって、人為的に巣を撤去してしまわないように
ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

=======================

☆2014年5月の記事~小型渡り鳥、尾羽根の異常が急増 2011年秋から(朝日新聞)

オオジュリンという小型の渡り鳥の尾の羽根に、2011年秋から、
虫食い状に欠けていたり長さがふぞろいだったりする異常が
広がっていることが、山階(やましな)鳥類研究所の調査で確認された。
原因はわかっていないが、寄生生物や未知の感染症、東京電力
福島第一原発事故で放出された放射性物質の影響などを可能性
としてあげている。

==========================

今年の5月に新聞でこの記事を読んで懸念していました。
このオオジュリンのことは、日曜日の講演会でも少しおはなししました。
まさか、おはなしした直後にツバメから同じテーマを託されるとは思っても
みませんでした。

今、思った以上に日本の自然が汚されているのかもしれません。
私たち人間への影響はまだまだ先の未来なのかもしれませんが、
今現在、野に生きる生き物たちは苦しめられています。
私たち人間に影響がでてきたときには、もう灰色の大地になっているかもしれない、
ツバメはそう語りました。

私は大楠からも地下水の汚染の拡大、モリアオガエルからも河川の汚染の危険性、
オナガからは大気汚染について聞かされてきました。
それは放射能というテーマをも含んでいて、私たち人間が、自分たちの命を守ることを
求められていると思います。

身近な自然に目を向けていくこと、その変化を見逃さないで、そこから何が伝えられようと
しているか耳を傾けていくこと。
そして、私たちに何ができるのかを考えていくこと、自然と野の生き物たちは、種は違っても、
私たち人間もこの大地に生きる命、仲間として、あきらめることなくメッセージを届け続けて
くれていると思います。
私はそこに、警鐘というだけではなく、私たち人間も同じ命として愛してくれているから
だと思うんです。

自然と生き物たちからのメッセージが同じようなものでも、警鐘でもうれしいものでも、
何度でも、ずっとずっと届け続けようと思います。
それが私と彼らとの約束。
彼らとは地球の家族、仲間なのですから。


Baby Swallows / foxypar4



この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。