角が折れたカブトムシのおはなし

7/20、早朝の散歩道で愛犬の足元にひっくり返ってバタバタしている
カブトムシを見つけました。

拾い上げてみると、小さいほうの角が折れてしまっていて、
足の力が弱ってきていました。
とりあえず家に連れて帰ってごはんをあげてみることにしました。

カブトムシを持って散歩をしていたら、通りすがりの奥さんに
「何を持っているの？」と声をかけられました。
「カブトムシが落ちていたんです。」とおはなしをしていたら、
カブトムシが動いて道路に落としてしまいました！

あわてて拾うと長いほうの角の先端まで折れてしまいました・・・
立ち話をして気を緩めてしまったせいです・・・
とても反省しました・・・


photo by chihiro

帰宅してから家にあったプラケースに腐葉土を入れ、霧吹きで適度に
しめらせました。
それから蜂蜜を２倍くらいのぬるま湯で溶き、ティッシュに含ませて
カブトムシを置いてあげました。
おいしそうになめてくれています。

そのままそっとしておき、近所のお店に昆虫ゼリーとカブトムシ用の木を買いにいきました。


木に昆虫ゼリーをセットしてあげたら、目を輝かせておいしそうに
食べてくれました！

そのあと、折れてしまった角が心配でネットで調べてみました。
角から細菌感染をしてしまうことがあるので溶かした蝋でふさいであげる方法が
ありました。



恐る恐るやってみてなんとか折れた先端をふさぐことができました。
かたまる寸前、でもなるべく冷まして・・と頑張りましたが、ちょっと熱かった様で
カブトムシはブンブンに怒っていました（＾＾；）
小さい角から蝋がたれてかぶとにかかって固まってしまっています・・・（冷や汗）

その日の夜は元気を取り戻し、小さいプラケースの蓋の裏側に上れるくらいに
なっていました。
角が折れてしまっていては餌場で他の虫と戦って勝てなかったり、メスを獲得
できなかったり、メスがオスだと認識してくれないことがあるようです。
寿命も短く弱ってしまうのでもう自然には戻せないと思いました。
それでも我が家で長生きしてくれればと思いました。

翌日は大きなプラケースに移してあげました。
午後にはカブトムシはちょっと弱っていて、ひっくり返ったら自分で元に
もどることができなくなりました。



もう少しの命だとわかり、寝る前にもう一度昆虫ゼリーに置いてげたら
舌を出して食べ始めてくれました。うれしかったです。
「おやすみ」を言って眠りました。

翌朝、カブトムシは昆虫ゼリーから少し移動して腐葉土の上でちゃんと上を向いたままの
立派な姿勢で亡くなっていました。
最後におなかいっぱい食べられたかなあ・・・と思って庭にお墓を作って埋めてあげました。

カブトムシとおはなししてみました。

カ「僕はあそこで死ぬはずだったんだよ、本当は。」

私が彼を拾った場所のことです。

私「どうして角が折れてあそこにいたの？」

カ「カブトムシの競争に負けて角が折れてしまったんだ。
　　折れてから２日たっていた。
　　飛んでる最中に力尽きて落ちてしまった。
　　もう元に戻る力もなくて、そのときあなたが助けてくれた。」

私「でも、うっかり落としてしまってもうひとつの角を折ってしまって
　　本当にごめんね。」

カ「もうすぐ亡くなる命だったから。
　　末期の水というものを味わえたからいいよ。」

私「家で死んだけどそれでよかった？」

カ「２日も永らえたから十分だよ。
　　自然の中で死ぬのも、ここで死ぬのもあまり変わりはない。
　　自然の中に返すことも考えてくれたけど、僕の命の長さは
　　あまり変わりがなかったし、それよりも僕の存在が
　　あなたに与えられたもののほうが僕にとっても大切だったよ。」

私「最後に一緒に過ごせてよかったよ。」

カ「もう長生きができない僕に色々してくれてありがとう。
　　ふかふかの土の上で死ねてよかった。
　　次はきっと戦いに勝ってメスと結ばれるよ！
　　そして次に子供を残すね。
　　土に還れた。ありがとう。」

次もカブトムシに生まれて頑張る気満々でよかったです。
私にとっても折れた角の処置など色々知ることができて
本当によい出会いでした。

今、一世代を終えたハチやコガネムシたちのなきがらを
あちこちで見かけます。
秋に向けて次の世代が来年の子孫のために頑張って生きています。
亡くなった子らにはお疲れ様、今生きている子にはエールを。

夏は虫たちにとって命の季節です！

千尋のアニマルコミュニケーションサイト