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キュウリエソのおはなし [海のいきもの]

キュウリエソ

「海底に住むということはね、小さな小さな何もかもを

 見逃さないで生きることなんだよ。

 餌が本当に少ない。生きるために最低限のものしかない。

 自分を光らせ相手を寄せたり、生きるチャンスを見逃さないようにしないと

 大勢で生きて身を守らないと

 過酷な環境で生きるとはそういうこと。


 ぼくたちは自分たちを誇りに思っているんだ。

 長い間生き延びてきた種。冷たい氷の海でもね。

 繁殖力 厳しい環境でも生きる力

 自然の根底を支えるということは、数で勝負して

 決して絶えないようにするということ。


 大きな種は弱い 小さな種ほど強い。

 それらに支えられているんだ自然は。

 大きなピラミッドの下にいるぼくたち

 自然を支える力 みなもと。

 いのちはめぐってめぐって 大きなものへ流れて

 やがて自分の元いた場所にかえってくる。

 ぼくたちがいなくなったら この海は滅びる。

 人間が利用しようとしていること

 それが何に続くかは 大きな種がいなくなって

 はじめてわかることだ。

 必要以上に獲ればなくなる。

 均衡がやぶられる。

 ぼくたちは自然を支えるためにいる。

 いのちを支えるためにいる。

 循環をうながすためにいる。

 食べられることも すべて

 この海を支えるためなんだ。

 小さな種で全体を支えるとはそういうことだよ。」

キュウリエソに「あなたのいのちの時計はどう流れているの?」
と聞いてみました。

「食べられて終わる短い命だけど、それがめぐってめぐって

 大河のように海に流れて大きないのちを支えるということは

 目には見えない大きなながれ。

 自然がつくったそのサイクルをぼくたちは本当に素晴らしいと思う。

 ぼくたちのいのちは終わらない。

 自然のサイクルすべてが ぼくたちのいのちのながれだから。

 ちいさなもの いのち むだなものはひとつもない。

 この世にはね。」


Moonlight at sea / Frank van de Velde


 

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